2019 年 116 巻 2 号 p. 115-122
本邦における切除可能な食道癌(UICC-TNM分類第7版におけるII/III期(T4除く))は,手術単独療法から現在の標準治療である「5-Fluorouracil(5-FU)およびCisplatin(CDDP)を用いた術前化学療法(CF療法)後の手術」の確立により,有意に全生存期間の延長および5年生存割合の改善を認めてきた.しかし,依然食道癌は予後不良な癌腫であり,さらなる治療の開発が望まれている.そのような中,本邦にて胃癌や頭頸部癌に使用されてきたDocetaxel(DTX)を上乗せした術前DCF療法や,欧米での標準治療である術前化学放射線療法の有効性がわが国の食道癌に対して検証されている.本稿では切除可能な食道癌に対する周術期治療として,本邦および欧米での治療についてのエビデンスを紹介し,さらに現在行われている臨床試験の最前線を含めて概説する.