日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ(総説):過敏性腸症候群の診療―現状と今後の展望―
過敏性腸症候群における粘膜持続炎症のメカニズムと抗炎症治療
三島 義之石原 俊治
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2019 年 116 巻 7 号 p. 560-569

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抄録

過敏性腸症候群(IBS)患者の一部には,腸管粘膜局所に顕微鏡的な微弱炎症を有し,腸管免疫の持続的な賦活化を認める.その粘膜持続炎症がIBSの病態に密接に関与していると考えられるが,そこに存在する詳細なメカニズムに不明な点が多い.そこで今回,IBSで腸管粘膜の微弱炎症の持続がなぜおこるのか,粘膜炎症がどのようにして腸管知覚過敏/機能異常を生じるのか,粘膜炎症に対する抗炎症治療がPI-IBS治療となり得るのかに着目し,文献的考察を行った.今後は,新たな粘膜炎症に焦点を当てた検査法,治療法の確立を目指して,現行治療に難渋しているIBS患者へのbreakthroughとなることを期待したい.

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© 2019 (一財) 日本消化器病学会
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