1976 年 73 巻 8 号 p. 928-934
蛋白漏出性胃腸症27例を免疫異常の側面 (体液性と細胞性) から検討した. 血清免疫グロブリンでは,IgGの低下は著明であるが, IgAやIgMは各疾患で一定しなかつた. 腸粘膜固有層中の免疫グロブリン含有細胞の減少もみられた. 皮膚反応では, PPD反応やDNCB反応が多くの症例で陰性化をみた. PHAによる末梢リンパ球の幼若化反応は低下がみられたが, 末梢血T細胞数は対照に比し減少を示さなかつた. 以上より, 本症では体液性免疫と細胞性免疫の異常が著明であることが明らかにされた.