日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
73 巻, 8 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 第1報 糖尿病の膵外分泌機能
    藪内 信治, 稲辺 靖仁郎, 伊東 義智, 渡辺 一晶, 鬼原 彰, 大原 弘通
    1976 年 73 巻 8 号 p. 903-910
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    糖尿病30例に対し, P-Sテストを実施し, その膵外分泌機能を検討した. その結果, 糖尿病は膵液量,最高重炭酸濃度および amylase 排出量のいずれもが有意の減少を示した. これらの変化は, 血糖値コントロールの良否, 罹病期間あるいは合併症の有無等との間に相関性を認めたが, insulin 治療による膵 amylase 排出の増加は insulin が膵 amylase の合成 bull;分泌に直接的促進作用を有することを推測させた. 一方糖尿病の血中 glucagon は有意な上昇を示し, その膵外分泌抑制作用からみて, 糖尿病の膵外分泌機能低下の背景には, insulin および glucagon の分泌動態の変化が, 特にそれらの相互関係の上で大きい影響を与えているものと考える.
  • 第2報 Streptozotocin 糖尿病ラットにおける膵外分泌機能と血中インスリンおよびグルカゴン動態
    鬼原 彰, 藪内 信治, 稲辺 靖仁郎, 伊東 義智, 小笠原 徹也, 大原 弘通
    1976 年 73 巻 8 号 p. 911-916
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Streptozotocin による実験糖尿病ラットを作製し, 膵外分泌機能の変化と共に血中 insulin および glucagon 動態を観察した. その結果, 糖尿病ラットでは, 膵液量ことに amylase 排出量の著明な減少を認め, これに insulin 治療を施すと amylase 排出量は明らかに改善された. 一方血中 insulin は糖尿病ラットで減少したが, glucagon の上昇は認めない. しかしこれをG/Iモル比でみると糖尿病では上昇しており, さらに arginine 負荷で血中 glucagon は有意に上昇した. 以上より, 糖尿病ラットの膵外分泌機能低下の機序としては, insulin 不足による膵外分泌系に対する直接的促進作用の低下が最も重要な要因と考えられ, glucagon の膵外分泌抑制作用もその変化を助長するものと推測される.
  • 小西 孝司
    1976 年 73 巻 8 号 p. 917-927
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵石症の発症とその結石形成機序を解明する目的で, 犬の大膵管を結紮し6カ月以上観察したところ13例中6例 (46%) に膵管内結石を認めた. 実験膵石の主成分は炭酸カルシウムであり, その他燐酸カルシウムや有機物が検出され, 結石構成成分は対比した人膵石とほぼ同様の混合率を示した. 結石形成犬の膵管は拡張,蛇行が著明であり膵液の欝滞が窺われた. 膵管結紮により膵に結合織増生と膵管上皮の粘液細胞化生が認められた.
    以上の実験成績より化生膵管上皮より産出され濃縮した mucus や脱落上皮を含む plug に膵液中のCa++が沈着して結石形成が行われるものと推察され, 膵石形成には膵管の狭窄と膵液の欝滞が重要な因子であると結論した.
  • 朝倉 均, 日比 紀文, 田中 義, 小野 明, 森下 鉄夫, 森田 證, 土屋 雅春
    1976 年 73 巻 8 号 p. 928-934
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    蛋白漏出性胃腸症27例を免疫異常の側面 (体液性と細胞性) から検討した. 血清免疫グロブリンでは,IgGの低下は著明であるが, IgAやIgMは各疾患で一定しなかつた. 腸粘膜固有層中の免疫グロブリン含有細胞の減少もみられた. 皮膚反応では, PPD反応やDNCB反応が多くの症例で陰性化をみた. PHAによる末梢リンパ球の幼若化反応は低下がみられたが, 末梢血T細胞数は対照に比し減少を示さなかつた. 以上より, 本症では体液性免疫と細胞性免疫の異常が著明であることが明らかにされた.
  • 清沢 研道, 古田 精市, 長田 敦夫, 赤羽 賢浩, 小池 ゆり子, 佐原 勍, 古川 賢一, 飯島 義浩, 山村 伸吉, 小松 敬直, ...
    1976 年 73 巻 8 号 p. 935-940
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Hepalitis B surface 抗原の asymptomatic carrier (AsC) 28例と各種肝疾患143例における血中 HepatitisB core 抗体 (anti-HBc) を蛍光抗体間接法により測定した. また肝組織中 Hepatitis B core 抗原 (HBc-Ag) の局在を蛍光抗体間接法により検討し, anti-HBc 価との関連を追求した. anti-HBc 価は AsCで低く,慢性肝疾患, とくに慢性肝炎活動型で高値を示した. anti-HBc 価が23以下の低値例では肝内にHBc-Agは検出されなかつた. 以上の成績より, 血中 anti-HBc は肝障害の程度ならびに肝内における Hepatiti B virus の増殖と密接な関連のあることが分つた.
  • 高田 忠敬, 羽生 富士夫, 福島 靖彦, 内田 泰彦, 今泉 俊秀, 安田 秀喜, 金山 成保, 礒辺 孝司, 中村 光司, 木下 裕宏, ...
    1976 年 73 巻 8 号 p. 941-949
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸18症例を対象に, 胆道閉塞時および閉塞解除後に抗生剤を1回2g静注投与し, その胆汁内濃度を測定した. 使用抗生剤は Cephalothin, Thiamphenicol, Carbenicillin, Ampicillin の4剤であるが, 胆汁の流出を阻害する因子が存在すれば, その胆汁内移行はいずれも著明に減少し, とくに胆道完全閉塞例では,ほとんど認められなかつた. しかし, 経皮的胆管ドレナージにて胆汁誘導をはかると, 完全閉塞例でも抗生剤の胆汁内移行は急速に増加することが認められた. これらの現象は, 抗生剤投与時の肝機能検査値と直接の関係が認められず, 閉塞性黄疸における抗生剤の胆汁内移行は, 主として胆汁流出状況により左右されるとの結論をえた.
  • 山田 尚, 溝口 靖紘, 針原 重義, 榎本 剛夫, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1976 年 73 巻 8 号 p. 950-963
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    薬剤アレルギー性肝障害の発生機序に, 生体の細胞性免疫が関与する可能性が示唆されてからかなりの年月が過ぎた. この薬剤アレルギーの起因薬剤を同定する方法としては, 以前から疑わしい薬剤による in vivoの challenge test や末梢血リンパ球の薬剤刺激による幼若化現象をしらべる方法が用いられている1~4).
    In vitro でリンパ球の幼若化を検索するには, 感作リンパ球の抗原刺激による幼若化を形態学的に観察してその比率を算定する方法がある. また, 幼若化に伴うRNAまたはDNAの合成促進を放射能標識前駆物質のとり込みで推定する方法がとられる. さらに, 細胞性免疫の指標としてMIFなどの chemical mediator 産生を測定する場合がある5).
    これらの in vitro の細胞性免疫検索には, 通常末梢血からリンパ球を分離して, 培養しなければならないので, 比較的大量の血液が必要である. 従つて, 臨床的には患者への負担が重く, 臨床検査の面から一定の限度があり, くりかえし頻繁に検討することは必ずしも容易ではない. より少ない採血量で, しかも正確に細胞性免疫を評価できる方法があれば, 薬剤アレルギー性肝障害の起因薬剤の同定に大きな貢献をもたらすと考えられる.
    我々は, 約1mlの採血で再現性よく, リンパ球幼若化反応を測定できる方法を確立し, その方法を用いて薬剤による遅延型アレルギーの関与が考えられる肝障害の起因薬剤を同定した. これらについて詳細に記述する.
  • 溝口 靖紘, 中尾 昌弘, 黒木 哲夫, 川合 弘毅, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1976 年 73 巻 8 号 p. 964-971
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    84例の肝疾患患者について末梢血リンパ球幼若化試験を行ない, 肝細胞核膜成分に対する感作状態を検討した. 1) 核膜成分の刺激によるリンパ球の幼若化の頻度は, 慢性肝炎活動型86%, 急性肝炎43%, 慢性肝炎非活動型35%, 肝硬変症30%, 肝癌14%の順であつた. 2) 現在および既往において, HBs抗原の検出成績が陽性の症例では, 一般に核膜成分に対するリンパ球幼若化反応の陽性率は高く, 一方HBs抗原が陰性の症例においては, 核膜成分に対する応答は有意に低かつた. 3) 肝特異抗原 (Meyer) に対してリンパ球幼若化反応が陽性の症例では, 同反応が陰性を示す症例に比べ, 核膜成分によるリンパ球幼若化反応は有意の高率で陽性を呈した.
  • 所 安夫, 小金澤 滋
    1976 年 73 巻 8 号 p. 972-985
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    日本住血吸虫症に随伴した直腸癌及びS状結腸巨大ポリープ集落の各1例を資料とし, 前者標本全域の虫卵の分布を算え, 且癌境界部の粘膜の厚さと組成とを測定し, 計測病理組織学見地より若干の考察を企てた. 1) 虫卵は癌巣内及びそれより肛門側に皆無, 2) 粘膜下層全体の虫卵と直腸全体のそれと略等しい, 3)虫卵による異物炎は殆んどない, 4) 虫卵と上皮腺の増殖とは特に関係せぬ. 5) 癌境界域の組成と厚さとは全周で極めて不整, 6) 6mmの厚さは全て癌巣よりなるが4mm~2mmは正常粘膜内又は下に入りこんだ癌との総和である, 7) 癌の側方伸展は甚だ強烈, 8) 癌化腺と非癌腺との境は常に鋭利且鮮明, 癌化の過程を実像として追跡不可能, 9) 境界部も虫卵に乏しい, 10) 粘膜腺増殖は全く非特異的, 11) 随伴癌成り立ちの因果性は薄弱.
  • 藤樹 敏雄, 橋本 英明, 長 益悦, 高橋 一江, 兼高 達武, 藤原 郁夫, 神津 忠彦, 竹内 正
    1976 年 73 巻 8 号 p. 986-990
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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