日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ランブル鞭毛虫感染と吸収不良症候群に関する研究
星加 和徳加納 俊彦久本 信実伏見 章内田 純一石原 健二茎田 祥三木原 彊
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1980 年 77 巻 3 号 p. 368-376

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抄録

ランブル鞭毛虫による吸収不良症候群の成因について宿主と寄生虫の立場から形態学的な検討を行つた.十二指腸液中のSIgAの低下を認めた症例と吸収不良症候群を認めない健康寄生例との比較検討から,吸収不良の一因として全絨毛の表面を覆うような無制限な寄生虫の増殖,吸収上皮を覆う原虫の分泌した酸性粘液多糖類の厚い層(Trophozoite filamentous coating)による吸収の物理的,化学的障害が考えられた.また,原虫の無制限な増加,腸内細菌叢の増加による栄養素吸収の競合も考えられた.
SIgAの低下を認めた症例では,Fragylによる治療では効果なく,健康体における寄生は,self controlされ自然に原虫が消滅することを確認した.

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