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桜井 健司, 伊藤 博之
1980 年 77 巻 3 号 p.
355-360
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
正常と思われる新生児腸音を他覚的に評価する試みとして磁気テープに腸音を収録し,それについて周波数スペクトルおよび腸音持続時間の頻度分布を検討した.
腸音の収録にはS/N比の改善をはかるため二重円筒吸着型のピックアップを使用した.
サウンドスペクトログラフ(SSG)および高速フーリエ変換(FFT)を利用して調べた周波数分析によると,新生児の腸音は殆どが1,500Hg以下の低周波音であり,SSG上の縞模様の濃淡はFFTによる周波数スペクトルとよく一致した.単位時間を1msecとすると持続時間の頻度分布はほぼポアソン分布をし,その分散は小さい.
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田中 吉之助, 小林 絢三, 村井 雅己, 片山 照義, 山口 勝治, 桑島 士郎, 北野 厚生, 山本 祐夫, 矢野 郁也, 増井 正幹
1980 年 77 巻 3 号 p.
361-367
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
潰瘍性大腸炎をはじめ,その病因として自己免疫学的機序が考えられる疾患において,局所組織中に存在するリン脂質の免疫学的な役割を検討した.すなわち,同種モルモット組織(腸,肝,脳)より抽出したリン脂質の蛋白抗原及び腸内細菌共通抗原(ECA)に対する遅延型過敏症増強活性を検討した.その結果,各組織とも蛋白抗原に対して免疫増強活性を有したが,特に酸性リン脂質分画が強い活性を持つことが明らかとなつた.また腸由来リン脂質はECAに対しても同様の免疫増強作用を有することが示され,潰瘍性大腸炎に於て,局所腸リン脂質がautoimmunoadjuvantとして何らかの役割を持つことが示唆された.ECA感作モルモットの大腸において軽度であるが慢性の炎症性変化が認められた.
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星加 和徳, 加納 俊彦, 久本 信実, 伏見 章, 内田 純一, 石原 健二, 茎田 祥三, 木原 彊
1980 年 77 巻 3 号 p.
368-376
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ランブル鞭毛虫による吸収不良症候群の成因について宿主と寄生虫の立場から形態学的な検討を行つた.十二指腸液中のSIgAの低下を認めた症例と吸収不良症候群を認めない健康寄生例との比較検討から,吸収不良の一因として全絨毛の表面を覆うような無制限な寄生虫の増殖,吸収上皮を覆う原虫の分泌した酸性粘液多糖類の厚い層(Trophozoite filamentous coating)による吸収の物理的,化学的障害が考えられた.また,原虫の無制限な増加,腸内細菌叢の増加による栄養素吸収の競合も考えられた.
SIgAの低下を認めた症例では,Fragylによる治療では効果なく,健康体における寄生は,self controlされ自然に原虫が消滅することを確認した.
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野々村 昭孝, 原武 譲二, 狩野 哲次, 太田 五六
1980 年 77 巻 3 号 p.
377-385
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
2種類の培養ラット肝細胞(Coon細胞,RLC 1005)とラットfibroblastを慢性活動性肝疾患患者血清で処理した後に,健常者リンパ球を加えて細胞障害性を検討したところ,以下の結果を得た.1) 培養肝細胞を患者血清で処理すると,健常者血清処理に比較して有意に高い細胞障害がみられるが,fibroblastが標的細胞の場合にはこのような現象はみられなかつた.2) この反応は,患者血清中に存在する標的肝細胞表面膜結合性Igの存在と関連し,またeffectorリンパ球をaggregated IgGで処理することにより有意に阻止された.3) この細胞障害性と血中の抗平滑筋抗体価との間に直接の関連はみられなかつた.4) 慢性活動性肝炎では血清γ-グロブリンが高値の症例で細胞障害性が高かつた.
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重症肝障害におけるエンドトキシン
岩崎 正高, 丸山 泉, 池尻 直幹, 阿部 正秀, 前山 豊明, 長田 英輔, 安倍 弘彦, 谷川 久一
1980 年 77 巻 3 号 p.
386-394
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
重症肝疾患とエンドトキシン血症との関連を調べるため,各種肝疾患164例についてLymulus LysateTestを用いて,血中エンドトキシンを検索した.また肝硬変症と原発性肝癌例に99mTc-phytateにて肝Scintigramを行い,一部の症例で99mTc-phytateの血中のHalf Clearance Timeを求めて肝血流指数k値を算出した.劇症肝炎及び原発性肝癌ではエンドトキシン血症の出現頻度は,それぞれ75%,61.9%と高かつた.また肝が萎縮し肝血流指数k値が0.124以下でBSP45分値やICG15分値が34%以上の症例では,エンドトキシン血症を呈し易い傾向にあつた.
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第4報:Lymphocyte mediated cytotoxicity (Cellular Natural Kiling)に関する電子顕微鏡学的研究
宗像 良雄, 織田 正也, 森実 敏夫, 渡辺 哲, 土本 寛二, 土屋 雅春
1980 年 77 巻 3 号 p.
395-409
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
継代ヒト肝癌培養細胞(LiC-1大塚)を標的細胞とするヒトリンパ球の細胞障害性につき,走査型および透過型電顕により,経時的観察を行つた.正常ヒト末梢血リンパ球,特にnon E rosette形成細胞が標的肝癌細胞に対して,最も強い障害作用を示し,混合培養12~24時間後にリンパ球は標的細胞に喰い込むように接着し,後者は変性ないしは融解壊死に陥つた.両細胞接触部において,形質膜の三層構造は正常に保たれ,200~400Åの間隙が存在したが,ruthenium red染色標本では,この間隙は両細胞形質膜を被うRR陽性のsurface coatで満たされ,それらは互いに接着ないしは融合していた.この超微的接合を介してリンパ球は標的細胞に障害作用を及ぼすと考えられた.
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小林 衛, 佐藤 一美, 嶋田 紘, 新明 紘一郎, 鬼頭 文彦, 土屋 周二
1980 年 77 巻 3 号 p.
410-414
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
閉塞性黄疸12例(対照11例)にグルカゴン試験をおこなつた.黄疸例,対照例の空腹時血糖値は103.8mg/dl,94.1mg/dl,またグルカゴン刺激後の血糖上昇は48.2mg/dl,42.4mg/dlで,黄疸例がやや高かつたが有意差はなかつた.しかし対照例が60分で前値に戻つたのに対し,黄疸例は前値に戻らず,glycogenolysis亢進が認められた.インシュリンは,対照例でグルカゴン刺激2分後73.7μU/mlに急上昇した後下降した.黄疸例もやや低いながら44.6μU/mlに急上昇した.前にわれわれが報告した閉塞性黄疸における経静脈的ブドウ糖刺激時のインシュリン初期反応欠如の成績と対比して,グルカゴンとブドウ糖とでは膵β細胞に対する刺激作用機序が異なつていると推定した.
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鈴木 俊
1980 年 77 巻 3 号 p.
415-422
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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対照ならびに肝,胆,膵疾患の胆嚢の拡張,収縮能について,超音波断層法を用いて検討した.ビリグラフィン点滴静注による胆嚢拡張率は,対照群で154%であつたが,肝硬変,膵頭部癌では低値を示した.一方,セルレインによる胆嚢最大収縮率は,対照群で57%であつたが,胆石症と膵頭部癌で低値を示した.対照群において,拡張率と最大収縮率との間に逆相関関係が認められた.
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amylase isoenzymeと電顕所見
藤岡 利生
1980 年 77 巻 3 号 p.
423-432
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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臨床的に診断した慢性膵炎疑診群101例について,ps試験,その前後の血清amylase isoenzymeおよびERPの成績を比較検討し,さらに12例の生検でえた膵組織の光顕,電顕所見についても検討した.正常コントロール群25例のisoenzyme-pの平均値は,ps試験前も後も97 I. u./lと不変であつた.ERP軽度変化群47例ではps試験前127 I. u./l,後201 I. u./lで刺激により上昇したが,膵外分泌機能では明らかな異常を示さなかつた.このような膵外分泌機能障害の軽い症例(軽症膵障害)でも,電顕所見では基低膜の崩壊,zymogen顆粒の逸脱,粗面小胞体の拡張,ミトコンドリアの膨化,そして膵炎の促進因子と思えるフィラメント様物質の存在を認めた.
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膵石形成機序における酸性ムコ多糖の役割
泉 良平
1980 年 77 巻 3 号 p.
433-444
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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膵石形成機序を解明する目的で,ヒト膵液・膵石中の酸性ムコ多糖を生化学的に検索し,さらに膵管上皮のムコ多糖について組織化学的に研究した.膵石・膵液中酸性ムコ多糖は,酸性糠蛋白・ヒアルロン酸・ヘパラン硫酸・コンドロイチン硫酸Aの4成分から構成される.慢性反復性膵炎の膵液中酸性ムコ多糖はヘパラン硫酸が主成分で,膵石中酸性ムコ多糖と類似していたが,高度線維化慢性膵炎の膵液中酸性ムコ多糖はヒアルロン酸・酸性糖蛋白が主成分であつた.また膵液中酸性ムコ多糖の組成の変化は,膵管上皮の変化と良く相関していた.従つて,膵石形成には膵液中酸性ムコ多糖が関与し,慢性反復性膵炎が膵石症に至る主病態であると推察する.
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特発性門脈圧充進症の1例を中心にした検討
浮田 実, 岩原 定可, 島田 宜浩, 石川 泰裕
1980 年 77 巻 3 号 p.
445-450
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
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樺木野 修郎, 宮崎 範文, 大塚 量, 磯本 浩晴, 永松 久尚
1980 年 77 巻 3 号 p.
451-454
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
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木村 道雄, 土屋 幸浩, 大藤 正雄, 大野 孝則, 税所 宏光, 木村 邦夫, 野口 武英, 江原 正明, 五月女 直樹, 高橋 法昭, ...
1980 年 77 巻 3 号 p.
455-460
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
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岡部 和彦, 鴨川 旭, 中込 健郎, 鈴木 博, 渡辺 勇四郎
1980 年 77 巻 3 号 p.
461
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
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遠藤 克博, 小泉 勝, 田所 慶一, 金沢 義彦, 吉田 新, 三浦 守正, 菅野 孝, 平川 秀紀, 後藤 由夫
1980 年 77 巻 3 号 p.
462
発行日: 1980/03/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー