日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
広節裂頭条虫症のビタミンB12代謝
57Co-ビタミンB12-内因子, 58Co-ビタミンB12を用いた検討
矢崎 康幸並木 正義
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 80 巻 10 号 p. 2202-2207

詳細
抄録

北欧で広節裂頭条虫症患者にしばしばみられる寄生虫性悪性貧血は本邦では1例の報告例もない. 本症患者11例に57Co-ビタミンB12-内因子, 58Co-ビタミンB12各0.25μgを上部空腸内にゾンデを用いて投与し Schilling test を施行, さらに木原らの Damaso de Rivas 変法にて駆虫した虫体の57Coおよび58Coの摂取率を測定した. Schilling test では10%以下の低値を示したのは57Co, 58Co各2例にすぎず, 虫体の57Co, 58Co摂取率も各投与量の8.6±8.4%, 11.8±15.5% (x±SD) にすぎなかつた. このように本邦で寄生虫性悪性貧血がみられないのは条虫によるビタミンB12摂取率が低いことが一因である可能性が示唆された.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top