凝固XIII因子と肝病態との関連を知る目的で, 各種肝疾患85例を対象に血中XIII因子活性と, PAP法による肝生検組織XIII因子局在との関連について検討した. 血中XIII因子活性は, 肝実質障害により低下傾向を示す一方, アルコール性肝線維症では高値例が多い. 肝生検組織でのXIIIaは, 主として線維化巣の線維芽細胞, マクロファージ, 幼若なコラーゲン線維に濃染した. とくにアルコール性肝線維症や, 慢性肝炎活動性の線維性に拡大したグ鞘周辺部など, active な線維形成の場に顕著に認められ, 血中XIII因子活性上昇とも相関する所見を得た. 以上, 肝線維化におけるXIII因子の関与が強く示唆され, 血中および肝生検組織XIIIa所見は, 肝線維化進展の1つの指標となる可能性も示唆された.
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