肝硬変合併肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術 (TAE) の適応を主として肝機能面から検討した. 対象は38例で, TAE後1カ月以内に肝不全死した7例 (I群) と6カ月以上生存の31例 (II群) とに分け血球成分を主とした血液学的検査6項目と肝機能検査12項目とを対比した. その結果, I群とII群とでは血球成分を主とした血液学的諸検査に有意差はみられなかつたが肝機能では Bil, ICG, Alb, OGTTの型の4項目に有意差がみられた. 肝機能因子による重回帰分析では, Bil, OGTT, ICG, γ-glがTAEの適応決定上重要な4因子で, これによる1カ月生存の予測式がTAEの適応決定に寄与することを示した.