日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
81 巻, 9 号
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  • 潰瘍合併胃癌の発育様式解析のために
    西巻 正, 渡辺 英伸, 武藤 輝一
    1984 年 81 巻 9 号 p. 1937-1946
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    潰瘍合併胃癌の発育様式を分析するための予備作業として, 初発胃潰瘍 (円形潰瘍) 34例および再発性胃潰瘍 (隣接再発潰瘍51例, 線状瘢痕6例) 57例の線維症の消長を数量的および形態学的に検討した. 粘膜下層の線維症の拡がり (F.sm) と漿膜下層の線維症の拡がり (F.ss) の比 (F.sm/F.ss) をとると, 再発性潰瘍のF.sm/F.ssは初発円形潰瘍群のそれより有意に小さかつた(p<0.001). 既存瘢痕内の筋層融合が粘膜下層での再発性線維症の拡がりを阻害することが原因であつた. 再発性線維症も円形潰瘍の場合と同様に時間の経過と共に分解吸収されると考えられた. F分類による潰瘍再発部位の同定は発症後1年以内のものにのみ可能であつた.
  • 内藤 広郎, 亀山 仁一, 佐々木 巌, 今村 幹雄, 土屋 誉, 成井 英夫, 大根田 昭
    1984 年 81 巻 9 号 p. 1947-1954
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    各種迷切術を施行した22例の消化性潰瘍患者に胃液検査および75g OGTTを行い, 迷切前後の病態について検討した. 1) 術前∑ΔGIPとMAOは有意の正の相関を示した. 2) SV+P群では術後にGIP分泌亢進傾向がみられた. 3) SV+A群では術後にGIPおよびIRI反応の解離がみられ, GIP以外に insulinotropic action を有する物質が存在する可能性が考えられた. 4) SV+P群ではSV+A群よりGIP分泌亢進傾向がみられ, GIP分泌は付加手術術式によつて影響を受けるものと思われた. 5) SV+P群はTV+P群よりGIP分泌亢進傾向がみられ, GIP分泌には迷走神経, 特に腹腔枝が関与している可能性が示唆された.
  • 糖尿病患者について
    中村 光男, 牧野 勲, 小沼 富男, 筒井 理裕, 遅野井 建, 玉沢 直樹, 今村 憲市, 武部 和夫, 菊池 弘明
    1984 年 81 巻 9 号 p. 1955-1961
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    アップルアァイバー5~15gを糖尿病患者7例に6カ月間投与し, 投与前後で, 血清脂質, 糞便量, 糞便の回数bull;性状, 糞便中胆汁酸排泄量, 脂肪酸排泄量及び血清胆汁酸濃度の変化について検討した. 血清中性脂肪は37.3%の増加, コレステロール8.5%減少, 糞便量20.8%増加し, 兎糞症例は正常有形便に変化し, 糞便回数は平均0.85回/日から1.33回/日に増加した. 糞便中胆汁酸排泄量は221.3mg/日から318.5mg/日に有意に増加した (p<0.05). 胆汁酸構成成分では, ケノデオキシコール酸百分率が8.0%から17%に有意に増加 (p<0.01) したが, 脂肪吸収障害および血清胆汁酸濃度に変化はなかつた. 以上の結果から, アップルファイバーには軽度のコレスチラミン, ラクチュロース様作用のあることが示唆された.
  • 蓑田 俊二
    1984 年 81 巻 9 号 p. 1962-1971
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    各種消化管ホルモンの組織内分布をRIA法により定量的に比較検討し, また gel chromatography 法で消化管ホルモンの size heterogeneity についても検討し以下の成績を得た. (1) gastrin は胃前庭部に, secretin, motilin は十二指腸に最も多く, glucagon は膵以外では特異抗体 (30K) に反応する膵 glucagon (GI) は胃体部に, 非特異抗体に反応する glucagon (GLI) は回腸に最も多く, pancreatic polypeptide (PP) は膵以外に胃•十二指腸にも少量の存在を認めた. substance P (sub. P) とVIPは食道から大腸まで広汎かつ比較的均等に分布していた. (2) gastrin, secretin, GLI, GI及びVIPには size heterogeneity を認めるが, motilin, P. P. 及び sub. Pには size heterogenity を認めえなかつた.
  • 古屋 平和
    1984 年 81 巻 9 号 p. 1972-1980
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    回盲部の生理的特徴を明らかにする目的で意識下におけるイヌの回盲部運動を strain gauge transducer を用いて観察した. また回盲部の壁内自律神経構築を明らかにし, 運動との関連についても検討した. 小腸から大腸への収縮波の伝播様式を検討したところ, 回盲括約部を境に収縮波の伝播が抑制されていることが明らかになつた. 一方回盲部に分布する cholinergic fiber は隣接する部位と同様に分布していたが, 回盲括約筋の平滑筋線維束周囲には網の目状に豊富な adrenergic fiber が観察された. この特異な自律神経構築像は回盲括約部における収縮波の伝播抑制機構に密接に関与していることが示唆された.
  • 吉岡 政洋
    1984 年 81 巻 9 号 p. 1981-1988
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    コレラ毒素によるcAMPを介した小腸分泌性下痢において, 小腸絨毛膜の糖蛋白酵素である alkaline phosphatase の変動を検討した. ラット腸管内にコレラ毒素を投与後, 小腸管腔内と腸リンパ中にこの酵素活性の増加が認められたが, 絨毛膜上の酵素活性は減少せず小腸上皮内で酵素活性の産生が高まつている可能性が示唆された. Chlorpromazine や somatostatin を投与するとコレラ毒素による小腸分泌性下痢は抑制され, 同時に alkaline phosphatase 活性の小腸管腔内と腸リンパ中での増加は抑制された. 逆に L-phenylalanine により小腸 alkaline phosphatase 活性を阻害するとコレラ毒素による分泌性下痢は抑制され, この病態に小腸 alkaline phosphatase が重要な役割を果している可能性が示唆された.
  • VI. 活性化マクロファージによる肝細胞障害誘導に及ぼす性ホルモンの影響
    筒井 ひろ子, 溝口 靖紘, 加藤 寛子, 福井 美智留, 新井 孝之, 池本 吉博, 宮島 慶治, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 山本 祐夫 ...
    1984 年 81 巻 9 号 p. 1989-1994
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Macrophage (mφ) にグラム陰性菌から分離した lipopolysaccharide (LPS, 5μg/ml) を添加して培養すると, mφは活性化されて cell-to-cell の機序で分離肝細胞を障害するようになる. しかし, 低濃度のLPS (1μg/ml) をmφに添加しても, そのmφは分離肝細胞の障害を誘導しない. このような低濃度のLPSでmφを処理する場合に, 同時に生理的濃度に近い女性ホルモンでmφを処理すると, mφは肝細胞障害を発揮した. この女性ホルモンのmφ-mediated cytotoxicity (MMC) の増強作用は生理的濃度の男性ホルモンの同時添加によつて消失した. なお, 女性ホルモンを単独にmφに添加しても, mφは分離肝細胞を障害しなかつた. 以上の結果から, 性ホルモンがMMCを調節する可能性が示唆された.
  • 中尾 宣夫, 三浦 行矣, 高安 幸生, 和田 羊平, 高橋 英夫, 林 孝之, 大西 光典, 河島 輝明, 三浦 貴士
    1984 年 81 巻 9 号 p. 1995-1999
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝硬変合併肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術 (TAE) の適応を主として肝機能面から検討した. 対象は38例で, TAE後1カ月以内に肝不全死した7例 (I群) と6カ月以上生存の31例 (II群) とに分け血球成分を主とした血液学的検査6項目と肝機能検査12項目とを対比した. その結果, I群とII群とでは血球成分を主とした血液学的諸検査に有意差はみられなかつたが肝機能では Bil, ICG, Alb, OGTTの型の4項目に有意差がみられた. 肝機能因子による重回帰分析では, Bil, OGTT, ICG, γ-glがTAEの適応決定上重要な4因子で, これによる1カ月生存の予測式がTAEの適応決定に寄与することを示した.
  • 中山 隆雅, 斉藤 正之, 波多野 等, 三島 昭彦, 和田 勝則, 斉藤 正明, 杉田 周次郎, 田辺 雄一, 塚本 俊彦, 寺林 秀隆, ...
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2000-2004
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    慢性肝疾患9例に一回常用量200mgの cimetidine を経静脈的に投与し, 全身血行動態: 1) 血圧, 心拍数, 心拍出量, 肝血行動態: 2) 肝血流量, 3) 門脈血流量, 4) 門脈圧への影響を検討した. cimetidine 投与前後で, 全身血行動態に有意の変動はみられなかつた. 又, 2) indocyanine green の肝除去率を考慮して算出した肝血流量, 3) 超音波パルスドップラー法により求めた門脈血流量, 4) 直接測定した門脈圧, 及び閉塞肝静脈圧と自由肝静脈圧との差で表わされる門脈圧のいずれも有意の変動を示さなかつた. 以上より, 一回常用量の cimetidine は, 全身及び肝血行動態へ臨床上考慮すべき有意の影響は及ぼさないと考えられる. しかしこの薬剤を用いて, 門脈圧を減少させ食道静脈瘤からの出血を予防することは期待できないと考えられる.
  • 清水 淳, 桜林 忍, 杉浦 玄, 滝沢 秀樹, 宮崎 浩一, 西里 吉則, 斉藤 利彦, 守 亮三, 山本 啓一郎, 小柳 泰久, 木村 ...
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2005-2011
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素による慢性肝障害ラット23匹及び慢性肝疾患患者61例の肝比抵抗値を測定した. ラットでは Fibrosis 群1.95±0.23(×103 Ohm cm), LC(I)群1.74±0.17, LC(II)群1.39±0.15であり, Control 群2.24±0.22との間に統計学的に有意差(p<0.01)をみた. 慢性肝疾患患者ではCIH群1.88±0.24,CAH群1.66±0.23, LC群1.27±0.19であり, Control 群2.24±0.30との間に有意差 (p<0.01) 及び有意の傾向 (p<0.05) を認めた. 慢性肝疾患患者では肝比抵抗値は肝血流指数及び肝機能検査のCh-E, γ-gl, ICG (R15), Prothrombin 時間との間に有意の相関がみられた. 慢性肝障害ラット及び慢性肝疾患患者における肝比抵抗値低下の要因としては慢性肝障害による肝組織の変性あるいは肝結合織の増殖などの影響によるものと推測される.
  • 江崎 正則, 中澤 三郎, 内藤 靖夫, 木本 英三
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2012-2024
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝占拠性病変273例の超音波像を分類解析し, 摘出標本の得られた34例について水浸下超音波像と病理組織所見を対比検討した. 臨床例の超音波像はI型からVI型, sub type を含めて12型に分類された. 病理組織所見と echo level の関連については, 凝固壊死が多い程高く, 液化壊死は無 echo であり, 高度の脂肪変性は肝と同程度であり, 高度の線維増生は低かつた. 辺縁音響透亮帯は, 肝細胞癌では二次的変化のない2mm以上の偽被膜, または壊死のない腫瘍部と偽被膜を合わせた部に, 転移性腫瘍では時に線維増生を伴う壊死のない腫瘍部に一致した. 血管腫の高 echo 型において, 海綿状組織は肝より高 echo を, 硝子様変性は低 echo を示した.
  • 春日井 博志, 岡野 弥高, 児島 淳之介, 奥田 茂, 田中 幸子, 北村 次男, 竜田 正晴, 岸上 義彦
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2025-2032
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝内に限局性病変を指摘された肝疾患40例に対し, ヘパリンによる前処理を施した22ゲージ細径穿刺針を用いて, 超音波映像下吸引生検を施行した. 良性肝疾患は14例, 悪性肝疾患は26例あつた. ヘパリン処理した穿刺針と注射器を用いることにより, 十分な量の細胞診用検体を得ることができた. 同時に, 小組織片を得て組織診断用の薄切片を作製することができた.
    肝悪性疾患26例のうち21例が肝細胞癌, 3例が胆管細胞癌, 2例が転移性肝癌であつた. これらはすべて細胞材料を採取でき, 正診率は24/26 (92.3%) であつた. 組織標本は26例中22例 (84.6%) に作製でき, 正診率は20/22 (90.9%) であつた. 肝悪性疾患における総合診断率は, 細胞診と組織診を組み合わせることにより96.2%に上昇した. 総合診断率は, 腫瘍の部位•大きさ•内部エコー像とは無関係であつた.
    この方法で診断した最小の肝細胞癌は, 直径0.8cmであつた. 本法により肝癌の診断成績は著しく向上し, 偽陽性もなく, 本法は極めて信頼性が高く, 安全な診断法と考えられる.
  • 早川 富博, 宮治 真, 片桐 健二, 遠山 一太, 友松 武, 伊藤 誠, 武内 俊彦, 白井 智之, 山本 俊幸, 前田 甲子郎
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2033-2037
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    高齢者の剖検胆石196例 (平均年齢79歳) における無症状胆石の頻度と癌合併率について検討し, また3年以上観察しえた高齢者無症状胆石60例 (平均年齢76歳) を対象に, 胆石の変化, 症状発現などについて検討した. 剖検胆石例のうち109例 (56%) が無症状胆石であり, その胆嚢癌の合併率は0.9%で, 有症状胆石の10.3%に比べ低値であつた. 経過観察例の検討からは, UDC投与例を含めて胆石の消失が20%, 増大が8%にみられ, 排泄性胆道造影による退影能は約30%が不良化した. しかし, 有症状化率は8%と低率であつた. 以上より高齢者無症状胆石は, 無症状のまま経過する可能性が高く, 注意深い内科的観察は十分妥当性があると考えられた.
  • 建部 高明, 森山 隆則, 信岡 学, 牧野 幹男
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2038-2047
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    3症例にみられた macroamylase の生化学的な性状について検討した. 結合免疫グロブリンは2例でIgA•λ型であり, 1例でIgA•κ型であつた. アミラーゼ•免疫グロブリン複合体はpH5.0のゲル濾過あるいは Con-A affinity chromatography によつて完全に解離し, 解離したアミラーゼの zymogram は正常のパターンを示した. 遊離したIgAを回収し, これに精製ヒトP型あるいはS型アミラーゼを添加すると, 2例はいずれのアミラーゼとも再結合したが, 1例はP型アミラーゼとのみ再結合した. maltopetaose を基質とした場合, macroamylase のKm値は正常血清アミラーゼ, P型およびS型アミラーゼのそれらより若干低値を示した.
  • 東 健, 沢井 清司, 徳田 一, 西村 和彦, 藤本 荘太郎, 中島 正継, 魚住 玄通, 井口 秀人, 川井 啓市
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2048-2052
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 松田 博人, 五十嵐 陽子, 大石 誠, 辰己 靖, 荒木 一郎, 石塚 巌, 笹谷 守, 竹田 康男, 島崎 英樹, 上野 敏男, 竹田 ...
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2053-2056
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 中村 哲也, 岡 裕爾, 田中 直美, 丹羽 寛文, 岡 博, 古井 滋
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2057-2060
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 大塚 光二郎, 高江洲 裕, 二村 雄次, 永井 賢司, 早川 哲夫, 安井 健三, 小平 司
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2061
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 横須賀 甫, 堀口 正晴, 永山 和男, 相沢 健彦, 八木 茂, 小笠原 久隆, 小沢 靖
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2062
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 斉藤 孝一, 高木 徹, 三橋 彦也, 渋谷 義博, 森藤 隆夫, 吉田 浩, 粕川 礼司
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2063
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 石川 隆, 岩崎 泰彦, 大久保 昭行, 油谷 浩幸, 大西 真, 児玉 龍彦, 佐藤 弘, 井廻 道夫, 板倉 弘重, 高久 史麿, 渡辺 ...
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2064
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 岡崎 和一, 坂本 芳也, 森田 雅範, 宮尾 昌宏, 山本 泰朗
    1984 年 81 巻 9 号 p. 2065
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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