抄録
潰瘍性大腸炎における即時型アレルギーの関与をみる目的で, 直腸粘膜のIgE陽性細胞, IgG4陽性細胞, 肥満細胞, 好酸球および組織ヒスタミン含量に関して検討した. その結果, 本症の活動期の直腸粘膜においてはIgE陽性細胞, IgG4陽性細胞, 好酸球ならびに組織ヒスタミン含量は, 緩解期および健常者群に比べて有意に増加した. 肥満細胞は, 活動期に有意に減少した. 経過を追うことのできた症例では, 活動期より緩解期になると, IgE陽性細胞, IgG4陽性細胞, 好酸球は減少し, 組織ヒスタミン含量は減少の傾向を示し, 肥満細胞は増加した. 以上の諸変化は, 潰瘍性大腸炎の炎症の再燃や増悪に, 即時型アレルギーが関与していることを強く示唆するものと考えられた.