過去5年間に体腔内超音波検査(以下ILUS)を施行し,病理組織学的検討が可能であった直腸カルチノイド35例37病変を対象に,ILUS像と組織像を比較検討した.腫瘍表層で第1,2層に続いて認められる1条の薄い高エコー層(3a)は,腫瘍直上の粘膜筋板や粘膜筋板から連続する線維性間質を反映している可能性が示唆された.腫瘍部の内部エコーレベルが比較的高エコーの場合,線維性間質の占める割合が腫瘍細胞より多いことが関与している可能性が示唆された.内部エコーパターンが「不均一」の場合,腫瘍細胞が太い線維性間質で区切られ結節状の腫瘍蜂巣を形成していることが多かった.以上から,直腸カルチノイドに対してILUSを施行することにより,その病理組織像も推測しうると考えられた.