2022 年 7 巻 3 号 p. 107-114
【目的】頚動脈高度狭窄症に対するstaged angioplasty(SAP)は過灌流症候群(CHS)予防に有用であるが,弾性反跳(ER)による拡張不全が起こり得る.今回,ERの頻度や臨床的意義を明らかにした.【方法】SAP 49例における拡張直後から15分後の10%を超えるminimal lumen diameter(MLD) lossをERと定義し,2期目CAS時の再狭窄(NASCET≥70%)との関連,再狭窄を予測する閾値を超えたER(重度ER)の頻度と予測因子を検討した.【結果】MLDは0.7±0.3 mmから2±0.5 mmまで改善したが,ERを41例(84%)に認め,5例にCASを要した.術後3日目の麻痺増悪1例にCASを施行したが,全例でCHSは認めなかった.Lumen lossは有意に再狭窄(7例)に関連し(p=0.01),30%を超える重度ER 28例(57%)の予測因子は高齢(>75歳,p=0.01),偏心性狭窄(p=0.02),中心角180°を超える石灰化病変(p=0.04)であった.【結論】高齢および偏心性,石灰化病変ではERによる再狭窄が起こりやすく,早期のCASを検討する.