2022 年 7 巻 3 号 p. 115-121
【目的】2020年9月に頚動脈ステントCASPER Rxが保険適応となった.頚動脈ステント留置直後や留置後のフォローアップの際には,ステントの外観評価やステント内腔評価を目的に3D-RAを行う機会も多く,その有用性についてはすでに報告されている.CASPER Rx留置後の3D-RA撮影時の至適造影剤希釈濃度についての検討を行った.【方法】ファントムスタディにおける至適造影剤希釈濃度に関する検討結果を参考に,2021年11月から2022年4月までに3D-RAを施行した18例(ステント留置直後11例,フォローアップ7例)の撮影画像を後方視的に検討した.【結果】ファントムスタディで血管,ステント,バックグラウンド3つの濃度差を得たのは7倍希釈から9倍希釈であったが,臨床では血流の影響を受けるため,それよりも濃い造影剤濃度が至適造影剤希釈濃度となる.本研究では4倍希釈で血管,ステント,バックグラウンド3つの濃度差を得た.【結論】造影剤注入速度3.5 mL/secをベースとした場合,CASPER Rxに対する3D-RAの至適造影剤希釈濃度は4倍希釈濃度であった.