抄録
臨床経過およびCT所見から感染性硬膜下水腫と診断して手術を行った70才の男性について報告した。開頭術により典型的な慢性硬膜下血腫の外膜を認め、組織学的にも確認された。また水腫からCampyrobacter fetusが検出された。本症例では3か月前に頭部外傷の既往のあることと、Campyrobater fetusは主に消化器に存在することから、今回の感染性硬膜下水腫の発生既序は、消退過程における慢性硬膜下血腫の外膜に血行性に細菌感染を生じたものと推測された。慢性硬膜下血腫は多様な臨床経過をとることが知られているが、本症例の様な現象はきわめて希れではあるとともに、慢性硬膜下血腫の外膜の存在は常に細菌感染の原因と成り得る事を強調した。