抄録
術後5年以上生存する多形神経膠芽腫は極めて希で、またこれら長期生存例の死亡時の病理組織学的所見に関する報告も希である。今回我々は、術後6.5年後に頭部外傷で死亡し剖検を施行した多形神経膠芽腫の一例を文献的考察を加え報告した。症例は左片麻痺を主訴とした54歳男性。頭部CTで右前頭葉に嚢胞性病変が認められたため、嚢胞壁を含め肉眼的全摘出術を施行。病理所見は多形神経膠芽腫。術後は頭部照射とインターフェロンーβ療法が行われた。その後照射によると思われる痴呆が進行、階段より転倒し死亡。剖検脳は外傷による脳出血と浮腫を認め、腫瘍切除部周囲は照射によると思われる壊死細胞と血管の硝子化のみで腫瘍細胞は認められなかった。