抄録
47歳の男性が進行性の右外転神経麻痺を主訴として当院受診し、後頭骨環椎癒合症を合併した頭蓋底陥入症と診断された。MRI上は主訴の原因となりうる頭蓋内器質性疾患を認めなかったが、頭蓋底陥入症による小脳の後方からの圧排、および脳幹前方のクモ膜下腔の狭小化が認められた。癒合した後頭骨・環椎後弓の部分切除術が施行されたが、術後、脳幹前方のクモ膜下腔は拡大し、症状は徐々に改善された。主訴の原因は脳幹前面の血管による神経圧迫が考えられ、後頭蓋窩減圧に伴う脳幹の後方偏位によりこれが改善されたものと推察された。文献上、頭蓋頚椎移行部奇形による外転神経麻痺の報告はなく、今回の症例は貴重であると思われ、報告した。