抄録
Primitive trigeminal artery(PTA)と内頚動脈欠損を合併し,椎骨脳底動脈が責任血管であった三叉神経痛の1例を報告する.症例は69歳女性.左三叉神経第3枝領域の発作性の電撃痛を認めた.左椎骨動脈写でPTAを介して左内頚動脈が造影され,左椎骨動脈は著明に蛇行し,挙上していた.CTで左内頚動脈管の欠損が確認された.手術所見では左椎骨動脈が脳底動脈分岐部付近において三叉神経入口帯を圧迫していたため,これを減圧した.術直後より左三叉神経痛は消失し,術後20ヵ月間再発していない.この症例の病態は,左椎骨動脈がPTAを介して左内頚動脈領域にも血流を送っているために血行力学的なストレスが大きく,このために血管が蛇行し,三叉神経を圧迫したものと考察した.