1999 年 39 巻 12 号 p. 852-857
妊娠中毒症の37歳,女性.帝王切開分娩の翌日,頭痛発作が出現した.CTスキャンでクモ膜下出血(SAH)を認め,椎骨動脈写で右上小脳動脈(SCA)起始部の紡錘状拡大とその末梢の狭窄所見を認めた.出血発作を繰り返し,初回発作の24時間以内に開頭手術を行った.右SCAの血管壁に外膜下出血を示す変色を認め,近位部に破裂部位と考えられる瘤状膨隆が存在した.術中所見よりSCAの解離性脳動脈瘤(DA)と診断した.瘤状膨隆部をクリッピングし,この部と変色したSCA近位部のラッピングを追加した.術後経過は順調で,脳血管写で瘤状膨隆の完全消失と右SCAの血流温存を確認した.SAHを繰り返す破裂DAに対しては外科的治療を積極的に行うべきである.