抄録
60歳男性が度重なる失神発作を主訴として来院した。headup tilt testで起立性低血圧を認めた。また、両側頚部頚動脈に高度狭窄病変を認め、脳血流の低下を認めた。両疾患の合併により失神発作を生じたと考えられた。両側頚部頚動脈狭窄病変に対して血栓内膜剥離術を施行した。術後、起立性低血圧も改善し、失神発作はまったく生じなくなった。このことから、この症例における起立性低血圧の発症機序として、atherosclerotic plaquesによってcarotid baroreceptorsが圧迫されることにより生じたvasodepressor-typeのcarotid sinus syndromeが考えられた。