抄録
今回我々は第35病日目に発症した超遅発性Delayed Ischemic Neurological Deficit(以下DIND)の1症例を経験したので報告する。症例は70歳女性。Hunt and Kosnic GradeIII、Fisher group4のくも膜下出血で発症した、破裂左中大脳動脈瘤の症例である。術後も強いmass effectを有する血腫がシルビウス裂内に残存し、その機械的ストレスが超遅発性にDINDを発症させた直接原因と考えられた。多量のくも膜下血腫は超遅発性の攣縮も起こしうる故に、術中及び術後は極力血腫除去に努めるべきと考えられた。