日本農芸化学会誌
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緑茶製造工程中に於けるビタミンCの酸化に關する研究
(第1報)製造各工程中に於ける還元型ビタミンC含有量の變化に就て
瀧野 慶則武藤 聰雄太田 義十吉田 宏之
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1949 年 23 巻 2 号 p. 69-73

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抄録
1. 緑茶製造工程中に於ける還元型ビタミンC含有量の變化を檢する目的を以て標準機械製茶法,直火熱風火爐を用いた機械製茶法,標準冬茶製造法及び手蒸法にて蒸熱時間を異にした場合に就き試驗した。その場合測定法は藤田氏のインドフェノール法によつた。
2. 手蒸法にては蒸熱時間を25秒(若蒸), 45秒(適蒸), 60秒(過蒸)の3種に分ち,一番茶,二番茶及び三番茶に就き試驗し,乾燥工程を終えた荒茶中の還元型ビタミンC含有量は蒸熱直後の約60~75%に減少することを認めた。殊にその減少の大部分(約75%)が粗揉工程中に行われ,而もその工程の初期に著しいことが判明した。尚蒸熱時間の差異のみに基く還元型ビタミンCの變化に著しい差異が認められない。
3. 機械蒸による標準機械製茶法及び直火熱風火爐による機会製茶法に於ては上記工程中に於ける減少が極めて著しく,又標準冬茶製造法に於ては減少が甚だ少い特長を有する。
終りに本研究を行うに當り終始御指導を賜つた山本亮博士に深甚の感謝を捧げ,試料の摘採並びに実驗に協力された下田美智子たちに深謝する。本實驗の費用の一部は文部省科學研究費に仰いだ事を附記して謝意を表する。
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© 公益社団法人 日本農芸化学会
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