日本農芸化学会誌
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稲熱病に関する生化学的研究
(第10報)稲熱病菌の生理化学的分類に就て(其の5)
大塚 一止玉利 勤治郎小笠原 長宏
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1958 年 32 巻 11 号 p. 890-893

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抄録
47菌株の稲熱病菌を用いてT. C. A-cycleに関与する有機酸塩の利用度,セルローズ利用度,ペクチナーゼの差異並びに北大農学部菌株のNo. 1及びNo. 2のビオチン生成量等の試験を行い次の如き結果を得た.
(1) ビオチンを要求しないNo. 1及びNo. 2をビオチン欠合成培地で培養してビオチン生成能の有無を検した.即ち培養濾液及び洗滌菌体の酸加水分解物についてBioassayでビオチン量を試験した結果,ビオチン生成能は認められなかった.此等の菌株は糖代謝の型式が他の菌株とは異るものと考えられる.
(2) 炭素源としてはコハク酸,フマール酸,クエン酸の利用度並びに此等の酸に1/100Mマロン酸を添加した培地の利用度に就て試験した結果, 9菌株に就てはT. C. A-cycle以外の経路も予想せられる.
(3) セルローズの利用度試験の結果,利用度と病原性との間に関連性は認められるが分類の鍵にはなり得ない.
(4) ペクチナーゼについては明確な差異が認められなかった.
(5) 以上の如き結果よりセルローズ分解性,ペクチナーゼ等の差異より分類の鍵にする事は出来なかった.
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