日本農芸化学会誌
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有機リン剤の経時安定性に関する研究(第3報)
増量剤の物理化学的性質と有機リン粉剤の経時変化の関係
竹原 啓小竹森 正人大石 剛毅
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1967 年 41 巻 5 号 p. 209-219

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抄録

農薬用増量剤(鉱物質微粉末)のうち,主としてクレー類の物理化学的諸特性値と有機リン粉剤の分解の関係について考察した結果,大略下記のような結論を得た.
(1) X線回折法による鉱物の同定結果は,市販農薬用クレー類の鉱物組成はquartzなどの一次鉱物を主成分とするものが大部分であり, quartzのような不活性成分の多いものが経時安定性も良好である.
(2)分別溶解法による非晶質減量と経時安定性の間には相関関係が認められた.本法は測定法の精度に問題があるのでなお検討の余地がある.
(3)螢光X線法により増量剤中に混在する金属を一斉検索した結果,いずれの場合も鉄が多く認められた.本法による鉄の定量結果と熱塩酸可溶分金鉄の比色定量結果とはほぼ一致した.鉄の含有量とクレー類の精製の程度,あるいは原石の品位と関係があるものと推定され,鉄含有量の少ないものが経時安定性は良好であった.
(4)塩基置換容量と経時安定性には高度の相関関係が認められた.
(5)経時安定性良好な増量剤選別の方法として, X線回折法による鉱物の同定,螢光X線法による混在せる金属の同定,鉄含有量,塩基置換容量の測定などは,きわめて有効な手段であることを確認した.

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