日本農芸化学会誌
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飲料用乳酸菌の研究(第4報)
乳酸菌によるブドウ糖,乳糖,ショ糖混合物の分別定量
秋場 克彦日野 昌弘池辺 信夫
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1967 年 41 巻 8 号 p. 370-374

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抄録

L. acidophilus F 2 (誘導変異株,乳糖,ショ糖非醗酵株), L. thermophillus IFO 3863 (ショ糖非醗酵性), L. acidophilus 3532 (3種の糖に対し醗酵性)の3種の菌をもちい,その特異的糖発酵性によりブドウ糖,乳糖,ショ糖の分別定量を行なった.接種菌量は106~105/ml, 37°, 72時間静置培養後, 1mlをとり0.01N NaOHで生酸量を測定した.標準曲線は各菌株ともブドウ糖をもちいて2%の範囲まで作成し,混合糖の定量に用いるには,総濃度0.8%以上の場合は混合糖中のブドウ糖濃度が0.3%以下の濃度のときにのみ使用できる.また,発酵試料の定量を行なった結果,各稀釈濃度でも一致した定量値を得,試料に既知濃度の糖を添加して定量した場合の回収率も100%に近い値を得,実際の測定に使用が可能であった.
なお,ブドウ糖,乳糖,ショ糖以外の糖が試料中に混在した場合のこの定量法の特異性であるが,果糖はブドウ糖と同じく消費され,そのためブドウ糖の値は(つまりF2株によって得られる値),ブドウ糖+果糖の値として定量されてくる.その他の糖の定量におよぼす影響の詳細については,今後の検討に待ちたい.

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