1967 年 41 巻 8 号 p. 399-405
(1)紅茶の水色に明かるさを与え,その含有比率の高いことが紅茶の品質に望ましいとされるテアフラビンの生成に関し,アスコルビン酸,イソアスコルビン酸,アスパラギン酸,グルタチオン(酸化型)の添加は促進効果を,グルタチオン(還元型),システイン,アルギニン,リジン,グルタミン酸は抑制効果を示した.
(2)高次の重合物を形成していく一つの形式と考えられる(+)-カテキンのキノン重合時に,アルギニン,アスパラギン酸を添加すると,着色物を対照よりもはるかに多く生成し,グルタミン酸では逆の結果になることが認められたが,アルギニン添加などにより増加する着色物は,いわゆる(+)-カテキンのhead to tailの縮合物だけでなく別種のものも含むと推定された.
(3)アルギニン,リジンをテアフラビンを生成する系に添加した場合,カテキンの他の重合系を促進して褐色物をつくるものと考えられた.
(4)システインはテアフラビンを生成する系に添加した場合,特異的にケトンに不溶の桃色色素を形成するが,このものはカテキンのキノンとシステインの重合物と推定された.
(5)テアニン,アラニンのような中性アミド,アミノ酸は,カテキンの酵素酸化にあまり影響しないと考えられた.