1971 年 45 巻 11 号 p. 500-506
(1) トウモロコシとマイロにおいて,貯蔵中に生育してくる糸状菌は主にA. restrictus groupとA. glaucus groupであり,貯蔵前のミクロフローラとあまり変化はなかったが,高水分含量(19.2%)の両試料からは,これら糸状菌の他に.酵母様微生物が検出され,主要なミクロフローラを形成した.
(2) この酵母様微生物のγ線抵抗性は大きく,D10値は0.18Mradであったが,貯蔵温度を10°Cに保つか,水分含量を16%以下に保つことにより,その生育を抑えることができた.
(3) 細菌は貯蔵中に著しい増加を示すことはなく,貯蔵前とあまり変化しないか,または貯蔵中に減少した.
(4) 水分含量と照射試料の貯蔵効果について検討し,水分含量13.0%のトウモロコシではポリエチレン包装, 30°C貯蔵で0.6Mrad照射することにより2カ月間,また水分含量14.0%のマイロでは,同じ条件で3カ月間は糸状菌の生育を抑えることができ,また水分含量19.2%の場合でも1.0Mradの照射により,30°C, 1カ月間は全く糸状菌の生育もなく,貯蔵が可能であることが明らかとなった.