日本農芸化学会誌
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セルロース凝集性清酒酵母と非凝集性清酒酵母との細胞壁成分の比較
菅野 信男鈴木 修六秋山 裕一
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1975 年 49 巻 3 号 p. 141-148

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抄録

清酒酵母のセルロース凝集株と非凝集株の細胞壁を調製し,構成成分の差異を検討した.
1) グルコース,マンノース,蛋白質,リン酸およびグルコサミンのいずれの成分も若い細胞壁の場合には,菌株間に含量の差は認められなかった.
2) 古い細胞壁の場合には協会8号を除いてセルロース凝集株の方に,蛋白質とリン酸の含量が多く,逆にマンノースの含量が少なかった.これらの成分含量の差は細胞壁の表層部分の差であることが,細胞壁をエチレンジアミンにより分画した3つの画分のうち,表層のA画分における分析値から認められた.
3) 細胞壁蛋白質の構成アミノ酸の組成比は,若い細胞壁では,菌株間に顕著な差がないが,培養が古くなると凝集株の細胞壁はリジン,ヒスチジン,アルギニンおよび水解されてアンモニアを与えるアミノ酸の組成比が高くなり,逆にスレオニン,セリンは低くなることが認められた.
4) 以上から,凝集性清酒酵母とセルロースとの凝集の機構について推論した.

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