日本農芸化学会誌
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Penicillium属菌の生産する細胞外イヌラーゼの性質について
中村 豊彦中津 誠一郎
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1977 年 51 巻 12 号 p. 681-689

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抄録

PenicilliumSP.-1株の生産する3種の細胞外イヌラーゼを精製分離し,その酵素的性質の検討を行い,次の結果を得た.
(1) 3種のイヌラーゼは,これまで報告されている微生物からのイヌラーゼに比べて,イヌリン分解力の優れた酵素であった.
(2) 各酵素はMn2+,Co2+により活性化され,Hg2+,Fe3+およびpCMBにより顕著な阻害が認められた.
(3) 各酵素は,イヌリンを100%分解し,イヌリンに対する作用機作は,イヌリン分子のフルクトース末端からsirngle-chain mechanismで作用することが推定された.
(4) 各酵素の推定分子量はP-I86,000, P-II 63,500, P-III 66,000であった.
(5) イヌリンに対するKm値は,P-1で1.73×10-4M,P-IIで2.23×10-4M,P-IIIで1.57×10-4Mであった.
終りにのぞみ,ご指導をいただいた九州大学農学部上田誠之助教授,およびバクテリアレバンをご恵与くださった福岡女子大学藤井久雄教授に深謝いたします.また実験の一部に協力した河合洋一氏に感謝します.なお,本研究の一部は,昭和45年度日本農芸化学会大会で報告した.

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