日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
馬鈴薯脂質分解酵素のサブユニット構造とその再構成
松田 英幸松本 妙子平山 修
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 51 巻 6 号 p. 381-387

詳細
抄録

馬鈴薯塊茎中に存在する脂質分解酵素のサブユニット構造を調べ,ついで分離したサブユニット画分を透析処理によって再会合させ,酵素蛋白質の再構成および酵素活性の回復について検討した.
(1) 酵素蛋白質は,8M尿素,5mM EDTA処理により,分子量それぞれ約17,000および4000の少なくとも2成分に解離した.解離蛋白質の等電点は,native酵素よりも酸性側にあり,3.7および3.4であった.
(2) 1% SDS処理では,酵素蛋白質は分子量,約39,000,22,500および14,500の3成分に解離した.
(3) 上記尿素またはSDS処理の際,5%メルカプトェタノールを添加して行うと,いずれの場合も分子量約4000のペプチドに解離した.
(4) 透析処理によって,解離蛋白質の再会合が認められ,酵素活性は,ガラクトリパーゼ活性およびホスホリパーゼ活性いずれもnative酵素の活性の10~15%に回復した.酵素活性の回復は,Ca2+が存在しないと認められず,Mg2+ではわずかしか認められなかった.
(5) 再構成された酵素は,分子量およびガラクトリパーゼ活性とホスホリパーゼ活性の活性の比がいずれもnative酵素のそれとほぼ同じであった.
(6) 以上の結果から,馬鈴薯酵素のサブユニット構造とその会合式について検討し,Ca2+の役割について考察した.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top