2010 年 3 巻 p. 68-75
本研究では、Debら(2007)によって開発された知的障害者用認知症スクリーニングテスト、Dementia Screening Questionnaire for Individuals with Intellectual Disabilities(DSQIID)の日本訳版を作成し信頼性を検討した。手順と方法は、原著者の許可を得て、バックトランスレーションの手続きにより日本語版を作成し、研究チームで内容妥当性を検討したのち、重度知的障害者施設に入所する13人(平均年齢.64.9歳±6.1)に対して本スケールを試行した。評定者は調査対象と半年以上の関わりがあるという原版の条件に従い、該当する生活支援員26名に調査を依頼し、1人の調査対象に対して、2人の評定者が各自2回評価を施行した。信頼性検討のため、Test-retest法および評定者間の一致率を求めた。結果は、Test-retest法の一致率は、0.96と高い一致率を示した。一方評定者間の一致率は、1回目の平均0.78、2回目の平均0.79、全2回すべての平均は0.79であった。Test-retest法の判定一致率は十分なものであった。一方評価者間の判定一致率は、やや不満足な結果となった。以上から、日本語版の評定者間の一致率向上について検討すべきであることが確認された。