抄録
一般的に反芻は乳児に多く,患者自身が報告することはまれであり,反芻動物でみられる逆蠕動はヒトでは報告されていないため,成人における発症率や病態生理は不明な点が多い.反芻は通常,観察により診断され心理社会的既往を聴取することによって,基礎にある情動的ストレスが明らかになることがあるが,知的障害者では聴取することが難しく的確な評価がなされていない.そこで,反芻習癖を持つ知的障害者に対し調査票を作成し,当法人入所者367名,群馬県内知的障害者入所施設3施設310名に配布し記入を依頼した結果,実際に反芻を認められたのは55名であった.