知的障害を有する高齢者に対し,摂食・嚥下スクリーニングとして,クエン酸生理食塩水液を超音波ネブライザーで吸入させる咳テスト(couth test:CT)を実施し,嚥下障害の実態を明らかにするとともに,咳テストを行った全症例に対し,ビデオ嚥下Ⅹ線透視検査(videofluorography:VF)を行い咳テストとの相関性とを比較検討した.1%重量クエン酸生理食塩水液で陰性であった利用者は誤嚥なし30名,顕性誤嚥,不顕性誤嚥は確認されなかった.2%重量クエン酸生理食塩水液で陰性であった利用者は誤嚥なし30名,顕性誤嚥,不顕性誤嚥は確認されなかった.2%重量クエン酸生理食塩水液で陽性であった利用者は誤嚥なし30名,顕性誤嚥,不顕性誤嚥は確認されなかった.昨年度に引き続き,人数を増やして研究を行った.しかし現段階では咳テストが高齢重度知的障害者には有効であるという結果には至らなかった.今後も咳テストの施行件数を増やしデータの解析を行うとともに,利用者個々に応じた摂食・嚥下スクリーニング検査の必要性が示唆された.