看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2018福岡
セッションID: 2018.2_S2-3
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シンポジウム2
尿路感染ケアを行う認定看護師の立場から
小林 里沙
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抄録

尿路感染症は医療関連感染症の約 4 割を占め、そのうち66%~ 86%が尿道 留置カテーテル等の器具が原因となっている。リスクの高い患者では、腎盂腎炎、 さらには敗血症に至ることがある。また、カテーテルに起因する尿路感染症のうち、 二次的菌血症による死亡率は 10 ~ 30%と推定されており、カテーテル管理は感 染対策において重要である。

尿路感染症の感染対策は、感染経路を理解したうえで、適切な感染対策を 行うことで効果が得られる。尿道留置カテーテル挿入時は微生物を侵入させな いように清潔操作の徹底を行うこと、不要な尿道留置カテーテルは早期に抜去す ることが重要である。尿道留置カテーテルが必要な場合は、尿流が妨げられな いように維持することや尿の逆流を防止する必要がある。また、尿の廃棄時は 手指や着衣が汚染される可能性が高いため、適切な個人防護具(PPE)の着 用と適切なタイミングでの手指衛生を行うことで、医療従事者を介した微生物の 伝播を防ぐことも重要である。尿道留置カテーテル管理は、頻度の高いケアであ り、感染リスクも高い。日頃の管理が患者の感染リスクを大きく左右することを理 解しておく必要がある。

また、地域包括ケアシステムが進められるなか、感染対策においても地域連 携は重要である。患者は、様々な医療機関、介護施設、在宅サービス等を 利用している。そのため、感染対策も1つの医療機関で完結するものではない。 感染拡大防止のために、感染対策が必要な患者の情報提供を施設間でも適切 に行っていく必要がある。特に、薬剤耐性菌は急性期医療機関だけの問題で はなく、市中でも増加しており、介護施設等でも感染対策が求められることがあ る。感染拡大を防ぐためにも、地域における施設間のネットワークを構築しておく ことが重要である。

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© 2018 本論文著者
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