主催: 日本薬理学会
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2019 in 札幌
回次: 2
開催地: 札幌
開催日: 2018/09/21
"処方された薬を患者が飲んだかどうか"について注意深い看護師は多い。し かし、「この薬は、この患者にとって安全か?」「この薬は、この患者の生活の質に どれだけ貢献しているか?」について注意を寄せる看護師は、残念ながら少ない。 どの薬剤も医学的根拠に基づいて患者に処方されたものである。しかし、だからといって、患者に安全かつ適切な薬剤であるとは限らない。なぜなら、患者は 個別性があり、患者の身体や精神は日々変化しているからである。"この患者に とって"という点が重要だ。
看護師は、患者の身近に添い生活を支えるゲートキーパー(門番、危険を示す サインに気づき、適切な対応を図ることができる人)であり、同時に、患者の権利 を擁護し代弁するアドボケーターでもある。この薬剤は、患者の心身と生活にどの ような影響を与えているか。患者は、その薬を飲む必要性について心から納得し ているのだろうか。このようなことに看護師は敏感でなくてはならない。薬剤有害事象(Adverse drug events:ADEs)が関連した入院は入院全 体の 6.5%を占めるとも言われる。つまり、病院に勤める看護師は誰しもが ADEsを 目にしているはずである(よほどの新人でない限りは)。「薬剤性の~~~」という スクリーニング項目は、常にあなたの頭の中に浮かんでいるだろうか。知らなけれ ば、ADEsを考えず、診ようとしなければ、ADEsを見逃してしまう。
本講演では、入院病棟、外来、在宅など様々なシーンで、生活者としての患者・ 家族に密着する看護師が、薬剤有害事象をキャッチするためのアセスメントのポイ ントについて解説する。また、患者中心の薬剤療法を実現するために、患者・家族、 薬剤師や医師ら多職種とどのように協働すべきかについて述べたい。