主催: 日本薬理学会
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2020 in 熊本
回次: 1
開催地: 熊本(オンライン)
開催日: 2020/11/21
皆さんは、「ピル」と聞いてまず、何を思い浮かべるでしょう。昨今の話題と 言えば、緊急避妊薬としてのピル、いわゆるアフターピルが街の薬局で入手で きるかも�といったところでしょうか。では、女性ホルモン製剤といえばいかがで しょうか。女性ホルモン製剤といえども、経口避妊薬と並んで書かれることも多 いためか、用量の設定によって、その他多くの効能効果があるにもかかわらず、 避妊薬のイメージが大であるように思います。さらに、従来の高用量・中等量 ピルを更年期障害の治療に用いた際に認めていた、頭痛や吐き気、血圧上昇、 血栓症発生のリスクなど副作用ばかりに注目が行き、本来この薬剤を使用すべ き患者だけでなく医療従事者ですら、ピルそのものへの負のイメージが大きいよ うに感じます。
女性ホルモン製剤は、高血圧や糖尿病などと異なり、一般に治療薬として取 り扱う医療施設は限られています。また低用量製剤の場合、比較的若年層が 使用する薬剤であるため、仮に婦人科系以外の疾患で入院した場合には内 服薬を自己管理できる患者が多く、医療スタッフがその薬剤を目にする機会も 少ないのが現状です。しかし、その服用方法や使用目的を適切に把握し患者 に対応することは、より安全・安心なピルの使用を進めるために、重要なことで す。
そこで今回は、子宮内膜症や月経困難症などの治療に用いられる薬剤から 超低用量ピルまで、日本で上市されている薬剤を中心に、各種製剤の特性、メ リット、デメリットを振り返ってみたいと思います。また女性ホルモン製剤は薬剤 師の立場から見ても、実は具体的に話すことが難しい薬剤の一つですが、そ の取り扱い時、患者指導において感じること、問題点等を共有していきたいと 思います。