主催: 日本薬理学会
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2020 in 東京
回次: 2
開催地: 東京
開催日: 2020/12/20
私が新人看護師として大学病院に勤め始めた 20 数年前は、60 歳定年制がスタンダードとなった時代でした。当時、念願叶って憧れの高度救命救急セン ターに配属され、新しい知識や経験を消化していくのに無我夢中であった 20 代 の私は、自分がいずれ 60 歳になって定年を迎えるという事実にまるで現実味を 感じず、当然ながら自身のキャリアプランにも無関心でした。しかし、やがて 30 代 を迎え臨床経験も10 年を越えた頃、思い立って皮膚・排泄ケア看護認定看護 師を目指しました。資格取得後は、知的好奇心がより一層芽生えたため大学院 に進学し、急性・重症患者看護専門看護師の資格を取得して現在に至ります。 その間、日本は超高齢化の時代に突入しました。少子社会から多死社会へと 変遷し、社会保障制度が大きく見直されている一方で、医療の発達や衛生環 境の改善に伴う「人生 100 年時代」が到来しているといわれています。つまり私 たちは少なからず「自分の今後の人生において働く期間を延ばす」ことを考え なければならなくなりました。
私は現在、これまで蓄積してきた自身のスキルを、病院のクリティカルケア部門 における看護実践やコンサルテーションに大いに役立てています。また、教育や 研究を通し、自身と同様にスキルアップを目指す後輩達への支援を行っています。 そうした中、先に述べた「自分の今後の人生において働く期間を延ばす」ため に最も重要なことは、仕事における自身のキャリアを、自身のライフプランに合わ せてデザインし、生涯にわたって働き続けられる環境を準備することだと考えるよ うになりました。キャリアデザインは看護師の数と同じだけ無数にあります。この セッションでは、看護師にとって多様なキャリアモデルがあることを示す 1 つの例と して、私自身のこれまでの経験についてお話ししたいと思います。