看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2021札幌
セッションID: 2021.1_S2-4
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シンポジウム2
DVと子ども虐待
馬場 香里
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会議録・要旨集 オープンアクセス

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抄録

ドメスティックバイオレンス(DV)、子ども虐待、いずれも大きな社会問題となっています。報道から耳にするだけではなく、身近なところでも起きている、他人事ではない問題ともいえます。特に、周産期や小児看護領域では、ケアをする対象が問題の渦中にあることも稀なことではなくなってきているかもしれません。臨床現場で、DVや子ども虐待の問題を抱える対象に出会ったとき、まずはどのような対応をしているでしょうか。

 実際、DVや子ども虐待は、それぞれが別の現象であり、対応の根拠となる法律も別になっています。しかし、近年の報道にもあるように、虐待死が起きた家庭にDVも起きていたという事例は少なくありません。医療現場で考えてみると、例えば、小児救急で虐待を疑うご家族に出会ったとき、ご両親に話を聞くと、実はDVが隠れているという可能性もあります。このように、DVと虐待は互いに強く関連し合っており、その因果構造は非常に

複雑です。例えば、DVや虐待だけではなく、貧困や孤立、精神疾患や心身の障害など様々な問題が並行して起こっているケースもあります。抱える問題が複雑であればあるほど、対象にとって望ましい対応も複雑であり、たった一人の看護職による、あるいは一度きりの対応では十分ではありません。そこで必要になるのは、多職種との連携や、継続した対応になります。そして、望ましい対応には明確な答えがあるわけではありません。看護ケアがそうであるように、DVや子ども虐待においても、特に予防的な関わりを考える時、ベストなケアは複数の多職種との話し合いにより決定されていきます。

 さらに、2020年以降はCovid-19感染症の影響により、仕事を失う家庭も増え、外出自粛の必要な状況が続いたことにより、家庭内でのストレスは例年と比べて増大し、結果としてDVや虐待が増加しているという現状もあります。このような社会背景から、DVや虐待に関する看護職の対応も増加傾向にあると予想しています。

 今回のシンポジウムでは、DVと子ども虐待の現状や、実際にケースに出会ったときに看護職が知っておくべき基礎知識についてお話したいと思います。

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© 2021 本論文著者
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