抄録
現在、生物多様性の保全を視野に入れた水辺植物群落の修復・創出が行われている。目標とする群落として、 ヨシ(Phragmites australis (Cav.) Trin. ex Steud.)やガマ(Typha latifolia Linn.)等の大型の抽水植物が注目されているが、これらは繁殖力が強く、水面を覆い尽くして藪化する恐れがある。また、適正な規模の群落を維持するための管理に要する労力も大きくなる。このような問題点の解決策のひとつとして、中型の湿生植物アゼスゲを対象として調査した。その結果、1)アゼスゲの根系は、表層10cm の範囲に集中する構造となってルートマットを形成する。2)アゼスゲの水域への進出は水深約20cm が限界である。3)夏季の刈り取りによる管理によって草丈も抑えられる他、秋季の緑被維持の効果も期待できる。以上により、アゼスゲは修景的利用を意図した小~中規模の水辺に適した植物であることが明らかになった。