抄録
北海道産ジャガイモ農林1号について収穫約1.5ヵ月後,放射線処理を行ない発芽防止効果と放射線処理が二次加工製品に及ぼす影響を調べた。
(1) 7Krad処理により収穫後8ヵ月以上常温で貯蔵可能であった。5℃に貯蔵した場合,7Krad処理で,収穫8ヵ月後も発芽率は10%以下に押えられた。また収穫後約4ヵ月の0.5~1cm発芽したジャガイモは,7Krad処理常温貯蔵で芽の伸長を完全に押えられた。
(2) 重量減は,5℃貯蔵では,処理区間に差がなく常温貯蔵では約5ヵ月後まではほとんど差がみられない。
(3) 照射処理したジャガイモから二次加工製品(ポテトチップス)を製造した。官能検査の評点は,未照射区のほうがすぐれていたが,7Krad区と15Krad区間には,明らかな差異は認められなかった。また,ジャガイモは,5℃貯蔵より常温貯蔵するほうがポテトチップスの評価は高かった。
(4) 生ジャガイモの還元糖量は,5℃貯蔵のほうが常温貯蔵よりかなり多くまた照射量とともにいくらか減少した。
(5) ポテトチップスの油の色を比較したが,照射条件や貯蔵条件による明らかな差は認められなかった。
(6) ポテトチップスを脱油後粉未化し,その色調を比較した結果5℃貯蔵のほうがより着色し,また線量の高いほど着色が進んでいた。すなわち,還元糖量の多少とポテトチップスの着色度とはかならずしも一致しなかった。