1970 年 17 巻 1 号 p. 22-28
構成脂肪酸よりみて単一の大豆3-sn-phosphatidyl-cholineを得,molecular speciesを検討するためpho-spholipase Cを作用させdiglycerideにし,これをアセチル化,diglyceride acetateにし,次に硝酸銀TLCおよび同カラムクロマトグラフィーで分画した。さらに分画された各フラクションの1位および2位の脂肪酸の総炭素数による検討を行なった。その結果硝酸銀TLCで脂肪酸を異にする7バンド(LDGA-1~7)に,硝酸銀カラムクロマトグラフィーで13フラクション(LDGA-A~L)に分画された。これらの各フラクションのガスクロマトグラフィーの結果1位および2位の脂肪酸の総炭素数を異にする3-sn-phosphatidylcholineのmolecularspeciesは36(16+20,18+18), 34(18+16,14+20),38(20+18)が多く,これはもとの3-sn-phospatidylcholineの脂肪酸がリノール酸(59.4%),パルミチン酸(10.6%)が多いためと考えられる。また比較的多くアラキドン酸,エイコサトリエン酸,エイコサジエン酸が含まれているにもかかわらず,総炭素数40のものはごく少量より含まれておらず,このことは1位および2位の両者に炭素数20の不飽和脂肪酸がはいることなく,たとえば16+20, 14+20, 18+20の組み合わせが多いためと考えられる。