日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
Hydrogen Peroxideによる種子類の膨満現象とその食品工業への応用
(第1報)Hydrogen Peroxydeによる種子類の膨満現象について
川端 昭子加藤 文彦竹内 芳一
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1972 年 19 巻 4 号 p. 157-164

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抄録

(1) 種子類をHPO溶液に浸漬すると種子中のcatalaseによりHPOが分解され,種皮と胚乳の間に酸素が蓄積し,ジャケットが形成される膨満現象を発生することを見出した。
(2) 各種の種子の膨満現象はその種類によって異なった。
i) 膨満現象は種子固有の部位から開始ならびに進行し,所要時間,体積増加率は種子の種類によって異なった。
ii) 膨満種子の吸水量は,膨満所要時間の短い,体積増加率の大きい種子が所要時間の長い,体積増加率の小さい種子に比較して少なかった。
(3) HPOによる膨満種子と水浸漬による膨潤種子の差異は,現象発生の初期において膨潤種子は水分吸収により体積,重量が平行して増加するのに対し,膨満種子では種皮と胚乳間に生ずる酸素ジャケットにより体積は急速に増大するが,胚乳部は吸水を断たれることにより重量,体積の増加がほとんどみられないことである。
(4) 一般的に,実験に用いた種類では,膨満種子は剥皮が容易であった。

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