日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
加熱および貯蔵によるはちみつの品質変化
(第1報)はちみつ中のハイドロキシメチルフルフラールの変化
長谷 幸鈴木 修武大立 真理子鈴木 繁男
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1973 年 20 巻 6 号 p. 248-256

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抄録

はちみつ中のHMFの加熱および貯蔵による変化について検討した。
(1) 加熱処理の際,50℃では24時間,60℃では10時間では,HMFの増加はほとんどなかった。
(2) 加熱によるHMFの変化は,はちみつの種類によって差があって,pHの低い緩衝性の少ない品質のはちみつはHMFの生成量が大きい。
(3) 10℃以下の貯蔵ではほとんどHMFの変化はなく,むしろ減少傾向があった。室温(5~10月)でも増加の程度は少なく,36℃貯蔵では相当増加する。
(4) 貯蔵中のHMFの変化の程度もはちみつの種類や品質によって差がある。国産れんげはちみつは,輸入はちみつよりも増加率が少なかった。
(5) はちみつ中にあらかじめHMFを添加して,室温と36℃で貯蔵した。室温では減少し,36℃では始めは減少し,あとは徐々に増加した。
(6) クエン酸添加によりHMFの生成量は多くなり,温度が高いとその傾向が大きい。
(7) プロリン,第2鉄塩の添加による,貯蔵中のHMFの変化へ与える影響はほとんどなかった。

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