抄録
(1) マーガリンにメラノイジンとトコフェロールとを添加した場合には,単位重量あたりでの比較ではトコフェロールの方が抗酸化力は大であった。
(2) メラノイジンとトコフェロールとは著しい相乗性を示した。さらにメラノイジン,トコフェロールおよびクエン酸の3者併用区の抗酸化力は前2者併用区よりも抗酸化力は強かった。
(3) メラノイジンを0.005%以上添加したマーガリンは肉眼的に着色化の傾向が認められた。着色を嫌う食品においてはトコフェロールを0.005~0.01%とし,メラノイジン量を0.0025%とすることによって著しく油脂の酸化安定性は向上する。
(4) 着色してもかまわない食品においては,メラノィジンおよびトコフェロール添加マーガリンを用いて加工食品を製造するよりも,メラノイジンのプレカーサーであるキシローズあるいはブドウ糖を使用し,さらにトコフェロール添加油脂を用いて相乗性を期待する方が得策である。