日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
大豆蛋白質からリジノアラニン残基の生成
斎尾 恭子村瀬 誠
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 22 巻 1 号 p. 30-36

詳細
抄録

大豆蛋白質の成分,CIF(冷沈蛋白質),11S, 7Sを用いて,種々の条件下でアルカリ処理をしリジノアラニンの生成を検討した結果,次のような知見が得られた。(1) リジノアラニンはpH,温度が高いほど生成されやすいが,40℃においては,pH 11以上でのみリジノアラニンの生成が認められ,それ以下のpH領域においては,今回の実験範囲内では認められなかった。pH 13.0で40℃, 24時間処理した場合には,もとのリジン量に対し7Sで9%, CIFで30%に相当するリジンがリジノアラニンに変り,さらに高温下ではその生成量は増加した。
(2) リジノアラニンの生成には,蛋白質中のシスチン含量の高低が関係するようで,シスチン含量の高いCIF, 11Sの方が,7Sよりもリジノアラニン生成が容易であり,量も多かった。
(3) 市販大豆蛋白質製品4点を分析したところ,いずれの製品にもリジノアラニンはわずかながら認められたが,繊維状製品の生成量は他の3点に比べれば多かった。

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top