日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
醸造食品の低食塩化に関する研究
(第2報) 無塩および低食塩豆みその試作
岡田 安司横尾 良夫竹内 徳男
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1975 年 22 巻 8 号 p. 379-386

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抄録

仕込時に,みその重量に対して5% (v/w)のアルコールを添加して無塩および低食塩の酵素豆みそおよび麹豆みその試作を行ない,その品質的特徴を解析した。
(1) 酵素区,麹区とも低食塩化につれて,pHは低く,酸度,蛋白分解率は高く,着色が進み,熟成が促進された。しかし,アルコール添加のどの試験区においても酸敗は認められなかった。
(2) 酵素区,麹区とも低食塩化につれて,プロテアーゼ,アミラーゼおよびリパーゼの残存力価がともに高い傾向にあった。
(3) 酵素区は麹区に比べ,糖成分が高かったが,蛋白分解率が低く,特に遊離のアスパラギン酸,グルタミン酸含量が低かった。また,酵素区,麹区とも低食塩化につれて,アスパラギン酸,グルタミン酸の遊離量が増加した。
(4) 従来みそと無塩あるいは低食塩みその遊離アミノ酸,結合型アミノ酸パターンに大差がなく,全窒素,食塩量を同じに調整したみそ汁の官能評価に大差がなかったことから,みその苦味は食塩によって抑制され,食塩と調和しているとの考察をした。

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