日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
成熟過程大豆の主蛋白質の分画とゲル電気泳動挙動に及ぼす共存プロテアーゼの影響
浅野 三夫宇野 和生柴崎 一雄大久保 一良
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1977 年 24 巻 12 号 p. 607-612

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抄録
開花後成熟までの各段階の大豆から主蛋白質の分画を試み,共存するプロテアーゼ活性とそのゲル電気泳動挙動に及ぼす影響について検討した。その結果, 40~100%硫酸アンモニウム飽和度で塩析される蛋白質区分を調製することによって蛋白質以外の不活化成分を除くことができ,この区分における成熟に伴う主蛋白質成分の挙動は既報とほぼ一致した。また,この蛋白質区分にはpH5.9と7.7に極大値を示すプロテアーゼ活性がみられ,その活性は未熟ほど高く,成熟するにつれて経日的に減少した。この区分を放置しておくことによってゲル電気泳動パターンにおけるバンドの数が多くなり,明らかに既報での初期蛋白質に相当する数バンドが検出された。しかもこの共存プロテアーゼは100℃, 10分および5M以上のグアニジン処理で失活すると思われるが, 8M尿素および1%SDS処理でも,その分解生成物に相当すると考えられる初期蛋白質バンドが尿素系ゲル電気泳動パターンに検出された。
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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