1977 年 24 巻 5 号 p. 221-225
電導度測定法に基礎を置く食品中の有機酸含量測定法の実用化の一環として電導度測定用セルの試作を行った。
(1) 輝白金板を通電用電極とする簡単な投げ込み型セルを試作し,その電気化学的特性を調べた。
(2) 10-3~10-4N塩化カリウムおよびクエン酸換算0.3~2.5%の有機酸を含む試料液の300倍希釈液について求めたアドミッタンスと液抵抗の逆数とは完全に一致した。
(3) このセルによって得られた測定液の電導度と試料液中の有機酸含量との間には良好な直線関係が成立し,相関係数はγ=0.998,標準偏差はSy・x=0.045であった。
(4) 本研究の結果に基づいて試作した実用セルのセル定数は,塩化カリウム10-3~10-4Nの濃度範囲内でθ=1.221cm-1であった。よって,本セルの検定用標準液として10-1N塩化カリウムの300倍希釈液(3.33×10-4N, K=49.40μΩ-1・cm-1, 25℃)の採用を提案した。
(5) 実用セルの応答時間はほぼ零秒, 30分間の連続測定に対し測定値の変化は認められなかった。