日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
茶葉の脂質に関する研究
(第1報)茶期・熟度による脂質含量および脂肪酸組成の変化
阿南 豊正中川 致之
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1977 年 24 巻 6 号 p. 305-310

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抄録

茶葉の脂質含量および脂肪酸組成について,茶期別,熟度別に検討し次のような結果を得た。
1) 一番茶中期の茶葉の脂質含量は, 903.0mg/100g f.w.で約18%が中性脂質,約31%がリン脂質,約51%が糖脂質であった。個々の脂質で含量の多かったものは,糖脂質のMGDG, DGDG, SG,リン脂質のPC,中性脂質のSt, TGなどであった。
2) 茶葉の生育に伴う脂質含量の変化を調べた結果,全脂質含量は生育に伴い増加した。個々の脂質では, -MG-DG, DGDG, St(I)は生育につれて増加し,リン脂質はいずれも減少した。茶期別では,リン脂質は一番茶の方が多く,糖脂質のMGDG, DGDGは二番茶の方が多かった。
3) 茶葉に含まれる全脂質の脂肪酸含量を熟度別に調べた結果,全脂肪酸含量ならびに主要脂肪酸であるC18:3の含量は生育に伴い増加した。茶期別では,全脂肪酸およびC18:3の含量は二番茶の方が多かった。
4) 各脂質の脂肪酸組成を調べた結果,糖脂質はC18:3が圧倒的に多く,リン脂質はC18:2が多かった。 PGには特異的にC16:1が存在した。脂肪酸組成の熟度別変化では, MGDGでCl8:3の比が生育に伴い増加し, PGでは,C16:0の比が生育につれて減少しC16:1の比が増加した。

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