日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ビワのカロチノイド色素組成について
本邦産果実のカロチノイド色素と色調とに関する研究(第7報)
小林 邦彦磯 ハツ子芥田 三郎
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1978 年 25 巻 4 号 p. 191-195

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抄録

山口県産ビワの茂木,田中両品種についてその果肉カロチノイド組成を調べた。
カロチノイドは酸化マグネシウムカラムクロマトグラフィーで分別精製し,吸着順位,吸収曲線,エポキシドの呈色試験および塩酸エタノール処理による異性化試験,ならびに分配係数を参考にして同定し,E1% 1cm値を用いておよその量を算出した。
全カロチノイド量は茂木・田中でそれぞれ約2.1と約1.7mg%であった。またカロチノイド組成(全カロチノイドに対する%)は茂木,田中についてそれぞれ,クリプトキサンチン33と31,β-カロチン30と42で両者で大部分を占め,次いでクリプトキサンチン5, 6, 5',6'-ジエポキシド13と7,ビオラキサンチン8と8であった。その他少量のトロリキサンチン,クリプトキサンチン5, 6, 5', 8'-ジエポキシド,ζ-カロチン,フィトフルエンおよびパーシカキサンチンと推定される未確認物質などが見出された。またムタトクロームが茂木のみ,にルテオキサンチン,トロリクローム,オウロキサンチンが田中のみに少量見出された。しかしこれらは分別操作中に生じたものとも考えられ,品種に特有のものかどうかは明らかでなかった。

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